京都 アスタルテ書房

 

8月末も末、滑り込みで京都アスタルテ書房に行ってきました。f:id:baBylon:20230907000905j:image

お目当ては、Sotaro Okaさんの『化身』。

Twitterでたまたま見つけて、見た瞬間、絶対手に入れないと、と一目惚れした絵でした。

 

絵画を買う、それを目的にわざわざ出かけるなんて人生初めてだったのですが、自分の欲のためならばどこまでも、ですね。

アスタルテ書房さんの営業時間は14時~19時、惰眠人間にはこれ幸いでして、ちんたら準備をして夕暮れの京に繰り出しました。

最寄りは京都市役所前。アパートの一室が店になっているから迷うといった口コミを見て心配だったのですが、Google様のおかげで迷うことなく辿り着けました。

 

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ドアを開けると、外界とは時が違う空間に飛ぶことができます。

魔女みたいな方(店主さんなのかな…?)に無愛想だけど心地よい対応をして頂いて、薄暗い照明の中、ゴシックな本がギッシリの隠れ家を徘徊できて幸せでした。

レトロとか退廃とか世界観を押し出しすぎて入りにくい場所もあるのですが、アスタルテ書房は「ただそこに在る」という雰囲気でとても好きな古書店でした。

知ることができて良かったです。

 

そのままるんるんで京都丸善まで足を伸ばして、喫茶でカレーを食べてまたちょっと本の中をうろうろして、幸せな夜でした。

京都丸善、品揃えも店内の雰囲気も素敵で、お気に入りの書店です。

梅田の紀伊国屋ももちろん好きなのですが、あそこは活気で溢れすぎててあまり長居できなくて。

同じ梅田近辺なら、堂島の丸善茶屋町丸善の静かな雰囲気が好きです。

本屋は本屋なのに、場所によって全く違う空間なのが面白いなと思います。

 

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内藤ルネと一緒に飾って良いものか悩みましたが。

夜を彩ってくれる宝物がまた増えました。

 

 

 

 

 

 

 

京都に出かけると、いつも思い出す言葉があります。

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都築響一さんの『賃貸宇宙』の一説です。

「君がもしいまの人生を捨てたくなって、どこか遠くでクラゲのように漂って生きていたくなったら、京都に行けばいい。4畳半9000円の部屋を借りて、本屋で立ち読みして、学生相手の定食屋で350円か400円のセットを食べて、風呂屋に通っていれば、なんも考えないうちに3年や4年は過ぎていくだろう。

君はなんにも成し遂げないのだが、それはなんにも悪いことをしなくてすむってことでもある。日本各地からなにかをしようと心に決めた人間が集まってくる東京は、君になにかしなくっちゃというプレッシャーをかける。

でも、京都は違う。締切のない原稿のように、永遠に未完成のまま、君のやる気はいつのまにか東山にかかる霧や鴨川の流れに洗い流されていく。なんにもしないでいられることの贅沢と、その高い代償を教えてくれる町、それが京都の真髄だと、僕は思う」

 

学生時代を京都で過ごせたら幸運だ、とはよく言いますが、大抵の人は、京都がくれる微睡みの時間から目を覚まして、ちゃんと個々の世界を生きていくんだろうと思います。

 

 

自分は、もう、このまま溶けていきたいです。